室蘭市・港の文学館 八木義徳記念室

「港の文学館」設立のきっかけとなったのは、室蘭市で、1979(昭和54)年11月の17日から25日まで開催された「風土のなかの文学碑展」(北海道文学館主催)でした。この時、公的機関による文学資料の保存の重要性を痛感したのだそうです。
 
八木義徳をはじめとして、室蘭ゆかりの文学者とそのご遺族は、文学館設立にむけて、全面協力しました。 そして、9年後の1988(昭和63)年10月21日、「港の文学館」はオープンしました。 この日、満77歳の誕生日を迎えた八木義徳は開館式と祝賀会、それから「八木義徳文学祭」に出席しました。


八木義徳が開館式に出席した際のエッセイ

昭和六十三年十月二十一日、室蘭市に新しくできた「港の文学
館」の開館式に出席した。この建物は元は海員会館であったもの
だが、入念に改装されて、鉄筋コンクリートづくり白亜三層の立
派な文学館に生まれ変わった。道内の文学館としては札幌、小樽
につぐ第三番目のものである。午前十一時、岩田市長をはじめこ
の文学館のためにとくべつの尽力をして下さった四人の方々と並
んで、私もいっしょにテープカットをした。そして夜六時から祝
賀の宴が催されたが、その席上で、「室蘭文学館の会」の会長と
して樋口游魚氏が、会館にいたるまでの十年間におよぶ経過を切
々たる口調で報告した。その樋口氏の報告を聞きながら、私自身
にも深い感慨があった。



「港の文学館」では、室蘭出身の二人の芥川賞作家 八木義徳と三浦清宏、そして、プロレタリア文学の先駆となった葉山嘉樹の生原稿や単行本など、25,000点にのぼる貴重な資料が展示されていましたが、2013(平成25)年に旧プロヴィデンスへ移転し、新たにカフェスペースなどを設けてリニューアルオープンしました。